みらっちの読書ブログ

本や映画、音楽の話を心のおもむくままに。

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料理コンプレックス三千超【ようこそ料理本の世界へ①】

こんにちは。

 

なんとなく、衣食住シリーズ。笑

 

先日作家の辻仁成さんがご自身のブログに「ご主人が褒めないなら、ぼくが世界中の主婦を誉めたい」という記事を投稿されていました。仕事を持つ主婦だけではなく専業主婦へも向けたメッセージで、Twitterでも熱い反響がありバズって(一躍話題になって)いました。

www.designstoriesinc.com

 

主婦について、主婦である私が何か言うのは僭越すぎるので沈黙いたします。そして辻さんについては実は昔それほど好きではなかったのですが、異国の地でひとり息子さんを育てている姿には注目していました。確かにこのブログは嬉しく、「ありがとう、辻さん」という気持ちになりました。辻さんはお料理がすごく上手で、息子さんに美味しいご飯をつくってあげているんですよね。

 

実は私、主婦としてとても恥ずかしいことですが、お料理に超が3000つくくらいのコンプレックスがあります。なんで3000?古来より仏法で「三千大千世界」と言いますし、李白は五言絶句で「白髪三千丈」とか言ってますので、まああれです。誇張表現ですよ、中学生の皆さん。

 

主婦という職業を選んでしまったのにお料理コンプレックス。

経理の仕事に就いたのに数字アレルギーくらいのヤバさ(どんなヤバさ)。

 

そこに至る経緯は省略いたしますが、ある時から極端にお料理ができなくなり、自分自身、食事があまり食べられない、美味しいと感じられない状態になってしまいました。

 

それまで作っていたのも作れない、作り方がわからなくなる、間違う、味がわからない、何を作っても不味いという事態になってしまい、ちょっとした地獄。レシピ通り、分量通り作っても、何か違うものになるって普通、ならないですよ。子供は成長していくし、親のご飯を楽しく食べる時期に、作れないし作っても激マズという「メシマズ」になってしまったのは、さすがにかなりショックでした。あれはなんですかね、やっぱり「産後うつ」だったんでしょうかね。とにかく料理が苦手、嫌い、になりました。お料理って本当に心と直結していると感じました。

 

最初は大丈夫だった外食までもが徐々に辛くなっていき、外食先で家族や友達に迷惑をかけてしまうこともしばしば。アレルギーなら理解で行きますがメンタルはちょっと引きますよね、さすがに。でも皆さまに温かい(生温かい)目で見守っていただき、本当に感謝しております。メシマズは継続中ではありますが、最も被害を受けている息子もおかげさまでなんとか育っております。痩せっぽちだけど。ごめんよ、息子。

 

最近ようやく、本当の意味で回復してきている気がする…!

 

辛い経験を経て、「食」の大切さと素晴らしさを切実に感じられるようになりました。美味しいねって満腹になるまで食べられるって本当に素晴らしいことです。健康な心と体があってこそ。今ならランチも楽しめそうな気がするのに、コロナ禍で本当に残念。心から美味しかったねと笑顔で食事を楽しむことができる日が早く来ますように!と祈っております。

 

さて、なんと。そんな、そんな状況なのに。

そんな状況だから??

「お料理本」が好きなんですよ。

なんで?って感じですよね。

 

そして、私の場合これが肝心なところですが、眺めるだけで作ることはありません

これは何ですか。妄想料理ですか?いかなる怪奇にやあらん。

「料理本」「レシピ本」は「作るために」読むもの。作らないってどういうこと?と思います。私にもよくわからないです。想像ですが、私にとってお料理本は何かの「リハビリ」なのかなという気もします。苦手・嫌いがエスカレートする以前は、一応普通にレシピを役立てて作っていました。

 

ですので、今回ご紹介する本に載っているレシピが美味しいかどうかはわかりません。ご興味がある場合は、実際に作って確かめていただければと思います。すみません、無責任で。そういうわけで、今回ここにご紹介する基準は「作って美味しいかどうか」ではない、ということをあらかじめお断りさせていただきます。

 

テレビで昭和32年(1957年)に「きょうの料理」、1962年に「キューピー3分クッキング」が始まってから「料理」というジャンルは、今現在も、放送していない局がないんじゃないかと思うくらいの人気コーナーです。この二十年ほどは素人がレシピを披露するクックパッドや動画が見られるクラシルなど、インターネットのレシピサイトも数多くできて、それまでは新聞や雑誌など紙媒体のメディアで見ていたレシピを動く画像で見られるようになったというのは画期的だったと思います。それだけ、毎日何を食べるか、というのは主婦にとって悩みの種。

 

最初はテレビから「料理を教えてくれる講師」の認知度が高まり、そのライフスタイルを含めたカリスマ料理研究家のような存在が脚光を浴びるようになりました。小林カツ代さん平野レミさん有本葉子さん栗原はるみさんなどなど。普通の主婦から料理研究家になる人が続出し、今も花盛りです。

 

動画サイト全盛の中でも、紙の本も相変わらず、ものすごい量の本が出版されています。人気ブロガーnozomiさんの「つくおき」などはベストセラーですね。ネット発もあれば、レストランの料理人の方がお店の料理に近い美味しさにするコツを紹介している本だとか、お料理研究家の方が「我が家の定番」を紹介する本、「弁当本」など、ありとあらゆる料理に関する本が本屋さんでは平積みです。

 

それと忘れてはならないのは「漫画」。「料理漫画」というジャンルは「美味しんぼ」「ミスター味っ子」「食戟のソーマ」「クッキングパパ」など古くからの定番ジャンル。こちらはこちらでこまめにドラマ化されるなど勢いの衰えをしらないジャンルでもあります。ドラマ化はこのコロナ禍で激減した気がしますが。

 

私は漫画はあまり食指が動かず、もっぱらドラマ化してから楽しむタイプ。やっぱりこれ、お料理のヴィジュアルに惹かれるんでしょうか。ドラマと言えば、ドラマもまあ、本当にいろんな「食ドラ」があります。「孤独のグルメ」とか「深夜食堂」とか。「新米姉妹のふたりごはん」も面白い食ドラでした。漫画やドラマは料理人の一代記だったり、料理をめぐる事件の話だったり内容が多様で「お料理本」に入れていいのかわかりませんが、レシピを紹介していることもあるので一応、カテゴリに入れてみました。

 

とても書ききれない「料理本」をめぐる状況ですが、おおまかに「料理について書いた本」「料理のレシピを書いた本」に分けられると思います。「料理について書いた本」というのは、書いた人の食に対する考え方とか心構え、テクニックを紹介したり人生哲学を反映した、どちらかというとレシピより文字が多い本。「料理のレシピを書いた本」というのはレシピが中心で、できるだけたくさんのレシピを紹介しながら、コツやポイントをまとめた本。

 

まずは「料理について書いた本」から。

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土居善晴「一汁一菜でよいという提案」

土井善晴さんはテレビでもおなじみですが、もしかしたら料理研究家土井勝さんの息子さんと言った方がピンとくる方もいるのかもしれません。私は若い頃、土井さんのことを、どこかの割烹とか有名料亭の料理長さんだったのかなと思っていました。土井勝さんのこともだいぶ後になってから知りました。

 

正直この本のすべてが良いか、とか、そのままマネできるかどうかは別なのですが「家庭料理はご飯と具だくさんのみそ汁と漬物があればええんですよ」「おいしいとかおいしくないとか気にする必要ない」「ごちそうでなくていい、毎日味が違って当たり前」という言葉には救われました。土居善晴さんはアプリでもレシピ動画を発信していて、毎週ひとつは課金なしでお料理動画を観ることができます。「こんなん、適当でええんですよ」と言いながらアットホームにお料理されています。

 

bookclub.kodansha.co.jp

 

佐藤初女「「いのち」を養う食 森のイスキア」

人間が生きるのに「食」がいかに大切か、ということが、優しい言葉で説かれています。佐藤初女さんが92歳の時の本で94歳で亡くなられたときに取り上げられて、それをきっかけに読んだ気がします。青森で淡々と福祉活動を続け、カトリック信者で「日本のマザー・テレサ」と呼ばれた方みたいです。当初、私にこの本はかなりハードルが高かったです。「いのちをいただく」「食は生きる基本」「食材と向き合う」「昔ながら」「時間をかけてじっくり」といった、宗教を持つ人がこういった本を書くときにありがちな話ばかりと、最初は思いました。でも、読んでいるとときどき、心にひっかかる言葉が出てきて、いつのまにか、ほっとするような気持ちになれていたのは不思議でした。「(何もできない、という人に)何かできることが必ずひとつはありますから、それを探してみてください」という言葉は今も時々思い出します。

 

次はレシピ本。

syunkonカフェごはん

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山本ゆりさんの「syunkonカフェごはん」。全シリーズは持っていませんが、とにかく笑えます。本当に面白い。レシピというより(レシピももちろん美味しそうなんですが)読み物としてすばらしい。Sh unkon1ね「タイタニックを観ながら豚の角煮を作る」という読み物?レシピ?は捧腹絶倒。一読の価値ありです。いやぁこれ、本当に観ながら作った人いるかなぁ?関西弁の突っ込みに和みつつ楽しい気持ちになれます。

 

ブログも面白いです。1が出たときが新婚さんだったのに、昨年出産されてもう3児のお母さん。時の流れを感じます。ブログでは「今日は手抜き。全部チン」とかあって、なごみます。料理研究家だからー!映え狙わなきゃー!と気負ったところが無くて親しみやすいです。基本的に「家にある材料や器具以外使わないでできるだけ簡単にカフェっぽい料理をするのが目標」ということで、レンチンでできる料理もいっぱい。Twitterを見ると「ゆりさんの料理ほんとに美味しい!!!」と大絶賛されているのでたぶん美味しいと思います。てか、私も本格的に回復したら絶対作ると決めてます。

いつだろう??そろそろいけるかな?

Syunkonの本は写真もおしゃれだし美味しそうだし、眼福です。

 

もっと色々取り上げたい本があるのですが、またいつか機会があれば、と思います。シリーズ化したことですし。笑。ではまた。