みらっちの読書ブログ

本や映画、音楽の話を心のおもむくままに。

友だち追加

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

芸術論であり文学論【ギケイキ3/町田康】

ついに。 待ちに待って5年、ついに出ました『ギケイキ3巻 不滅の滅び』。 実際、最初の行を読んだとき「あれ?2巻はどこらへんで終わったっけ」、と、途方に暮れた気分になりましたが、すぐに世界に没入。そうだったそうだった、前回は吉野山で静御前と別…

中世と絶妙に相性がいい【町田康】

町田康さんはミュージシャンです。常々、音楽と文学というのは密接な関係にあるんじゃないか、と思っています。音楽家でもあり作家である町田さんが「琵琶法師」の世界を描く。もうそれだけでわくわくします。 「ギケイキ」は「義経記(室町時代に成立したと…

もしかして鬼殺隊と鬼灯さんは敵対関係なのだろうか【鬼灯の冷徹/江口夏美】

【鬼灯(ほおずき)の冷徹/江口夏美】。31巻(完結)。 morning.kodansha.co.jp 地獄の話です。 表紙の鬼灯さんはもちろん鬼。獄卒を統率する閻魔大王の補佐官です。 この漫画の閻魔大王はおちゃめなおじさまといった雰囲気で、鬼灯さんの上司として毎日亡…

エウレカと叫び、元栓を締める【エピデミック/川端裕人】

SARSが2002年から2003年で、新型インフルエンザが2009年。どちらも日本は水際対策によって免れた、あるいは最小の被害で済んだ、とされています。この作品は、SARSと新型インフルエンザパンデミックの間、2007年に出版されました。本格的疫学小説、だそうで…

新米母だったあのときの自分に届けたい【感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた/さーたり】

「この本を新米母だったあのころの自分に渡してあげたい」と思います。 www.kinokuniya.co.jp 正直、妊娠するまでワクチンのことを真剣に考えたことはなく、妊娠時に様々な検査をしたときに初めて意識した気がします。考えてみれば、かつて昭和・平成の時代…

追悼 山田太一さん【『ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路<オートバイ>山田太一未発表シナリオ集』頭木弘樹・『異人たちとの夏』/山田太一】

山田太一さんが亡くなりました。 まさか酒見賢一さんに続き、こんなにすぐに山田太一さんの追悼記事を書くことになるとは思いませんでした。 いえ、思っていなかった、というのは少し語弊があります。 先月、山田太一の未発表シナリオが見つかって、それが書…