みらっちの読書ブログ

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サザエさん形式はすべからく「あり」【だれも知らない小さな国/ふしぎなふしぎなながぐつ 作:佐藤さとる・絵:村上勉】

こんにちは。

 

小学生の時、よく読んでいたのが佐藤さとるさんの「コロボックルシリーズ」です。日本のファンタジー文学の草分け、第一人者とされている佐藤さとるさん。『誰も知らない小さな国』は、その第一作です。

コロボックル物語1 だれも知らない小さな国 (講談社文庫) | 佐藤 さとる, 村上 勉 |本 | 通販 | Amazon

Wikipediaには、

1959年(昭和34年)に自費出版後、同年講談社から出版されたファンタジー小説佐藤さとる佐藤暁)著。

1959年度毎日出版文化賞、1960年度児童文学者協会児童文学新人賞、また国際アンデルセン国内賞を受賞している。

と、あります。続編に、

だれも知らない小さな国 1959年
豆つぶほどの小さないぬ 1959年
星からおちた小さな人 1965年
ふしぎな目をした男の子 1971年
小さな国のつづきの話 1983年
別巻『小さな人の昔の話』(改題『コロボックルむかしむかし』)1987年

 

上記以外のコロボックル関連の作品


『コロボックルそらをとぶ』1971年
『コロボックルふねにのる』1971年
『トコちゃんばったにのる』1971年
『そりにのったトコちゃん』1972年
『コロボックル童話集』1983年
『百万人にひとり』2009年(もうひとつのコロボックル物語
『ヒノキノヒコのかくれ家 /人形のすきな男の子』2009年(もうひとつのコロボックル物語

が、あるようです。 どうやら、私が読んでいたのは上記の作品群の中の上から四番目まで。おそらく中学生になってからは、続編が出ているのも気づかず、読まなくなっていたんだな、と知りました。

 

初版本は、村上勉さんの絵ではなかったそうです。村上勉さんはたくさんの挿絵を描かれている画家さんなので、佐藤さとるさんの本以外にも、もちろん様々な場所で目にするのですが、私にとって佐藤さとるさんと村上勉さんは、切り離せないものになっています。

 

私が読んだときの表紙は、確か、これでした⇓

コロボックル物語(1) だれも知らない小さな国 (児童文学創作シリーズ) | 佐藤 さとる, 村上 勉 |本 | 通販 | Amazon

主人公は戦前生まれの男性です。小学生の頃(戦争中と思われる)、ひとり遊びに行った小山で、偶然出会ったおばあさんから、その山に「一寸法師のこぼしさま」という神様がいるという話を聞きます。そして実際に遭遇するのです(未来の妻、おちび先生にも)。そのことが忘れられず、戦後大人になって電気技師となった青年は、その「こぼしさま」はアイヌなどの伝承にあるような「小人族」のコロボックルだろうと見当をつけます。どうしてもこぼしさまに会いたい彼は、その山の土地を買い取って家を建てようと考えます。そしてついに、コロボックルたちと出会うのです。彼らは「スクナヒコナノミコト」の末裔で、名前に男は「ヒコ」女は「ヒメ」がつき、強欲な人間たちから逃れて地下に住み、人間にはみつからないように生きていました。とても素早く動き、言葉も普通の人間には「ルルル」と言っているようにしか聞こえません。人間の目をごまかすためにアマガエルの皮を着て移動したりします。彼らは青年を「セイタカサン」と呼び、山に住むことを認めてくれるのです。

 

当時の私は子供だったので「宝石のような小さいアマガエル」を無条件に「カワイイ!」と思い、こぼしさまがそれを着ぐるみみたいに着ている村上さんの絵を見て「カワイイ!」と思いましたが、大人になってから、もしアマガエルが天井から降ってきたら「コロボックルかも!」とは思わずきっと大騒ぎするんだろうなぁと悲しい気持ちになります。しょーがない。大人になるって、そういうことなのですね。

 

それでもいまだに「コロボックルは存在する」と思っている私。「セイタカサン」と「おちび先生」はいいなぁ、羨ましい、と思います。そしてこの本は、人間が自然を「開拓・開発」することで、彼ら人間以外の存在を蹂躙し、尊敬も共存もなく、ただただ彼らから奪い続けていることへの抗議や警告でもあるのです。人間は同じ人間に対してもそのような行為をする動物ですから、ましてや「見えない存在」に対し、どれほど残酷な存在か推して知るべしです。

 

佐藤さとるさんは2017年に亡くなられていますが、作家の有川浩さんが2011年から『コロボックル物語』を書き継ぐことになりました。有川浩さんにほれ込んだ佐藤さとるさんが、引き継ぐことを許した、というネット記事を読みました。そして村上勉さんは有川さんの作品にも挿絵を描いています。

 

だれもが知ってる小さな国 | 有川 浩, 村上 勉 |本 | 通販 | Amazon

 

有川浩さんは、私とほぼ同世代の作家さんで、ライトノベルの洗礼を受け(新井素子さんが大好きだったそうです)、ライトノベルでデビューしましたが、その後様々な作品を世に送り出されています。代表作は『図書館戦争』『フリーター家を買う』『三匹のおっさん』『旅猫リポート』など。ドラマ化、映画化もされたものも多数。最近、お名前の「浩」を「ひろ」と改名されたそうです。私も最初「ひろし」と読んでいて男性だとばかり思っていました。改名が、勘違いされやすいせいかどうかはわかりません。

 

 こちらもよい作品。すでに名前が「ひろ」になっていますね。改訂版の表紙のようです。我が家にある本は「浩」でした。

 

おそらく、有川さんも子供の頃、夢中で読んだに違いない「コロボックル」の物語。

『コロボックル絵物語』のあとがきには、こう書いてあるそうです。

私は大人になってから、佐藤さとるさんとお会いしました。
 佐藤さとるさんのご自宅は、『だれも知らない小さな国』に出てきたせいたかさんの小山のおうちそっくりでした。
「いらっしゃい」と出てきた佐藤さとるさんは、見上げるほど背が高くて、せいたかさんがそのまま年を取ったようなおじいさんでした。
 おうちに上がると、奥さまがお茶を出してくださいました。まるでおちび先生がそのまま年を取ったような、小さなかわいいおばあさんでした(お若いころは、きっとすごく美人だったにちがいありません)。
 私は思わずたずねました。
「せいたかさんは、佐藤先生だったんじゃないですか? コロボックルも本当にいるんじゃないですか?」
 佐藤さとるさんはにっこり笑って、私にこう言ったのです。
「ぼくは、今の時代の子供たちも、今の時代のコロボックルとトモダチになれたらいいなぁと思っているんだ。有川さん、新しい『コロボックル物語』を書いてみないかい?」
 そうして、新しい『コロボックル物語』のおひろめとして、この本が出ることになりました。

実は、私はまだ、その作品を読んでいません。

正直言って、有川さんの作品は好きなものとそうでもないものが割とはっきり分かれる作家さんで、なんか、ちょっと怖いというか。あの佐藤さとるさんの世界が、どうなっちゃってるんだろう?という気持ちが少しある、というか。

 

コロボックルたちの世界は、「神様の世界」みたいな感じなので、彼らの世界が太古の昔から未来に続いていく中で、人間が世代交代するのは当たり前、みたいな気がするし、こうして作家がリレーのようにバトンを繋いでいくのはそれはそれで、悪くない考えだとは思います。サザエさんだって、ドラえもんだって、作者が亡くなっても物語は続いています。きっと有川さんはコロボックルたちに選ばれたのだろうし、まあ「サザエさん形式」というのは「あり」だと思っているので(年齢が変わらないのも、作者が亡くなってからも時代にあわせて新作が作られるのも)、これも「あり」だとは思っています。多少、雰囲気が変わっていたってそれも受け入れよう、という気持ちはあるのですが。まだ、覚悟ができてません。

 

うん。いつか、読もう(っていうとだいたい読まない)。

 

ところで最後に、佐藤さとるさんの本で、私が一番好きだったお話をご紹介。

【ふしぎなふしぎなながぐつ 1972年】

ふしぎなふしぎな ながぐつ (日本の絵本) | 佐藤 さとる |本 | 通販 | Amazon

いやもう、これが一番好きだったかもしれません。

これは、【おおきな きがほしい 1971年】と同じ、かおるくん、という子供が主人公です。

おおきな きが ほしい

 

こちらは小学校の教科書にも載っていたお話です。大きな木があったらいいなぁと思ったかおるくんは、家の庭に大きな木があるのを想像してみます。すると、その想像がどんどん膨らんでいき、想像で作ったツリーハウスでたくさんの動物たちと春夏秋冬を堪能します。その話を両親に語って聞かせたところ、お父さんが本当に木を買って来て、一緒に庭に植える、というお話。

 

子供の想像力が溢れんばかりの、素敵なお話ですが、こちらは活き活きとしているけれどもあくまで「想像」、というもの。ところが【ふしぎなふしぎなながぐつ】は、ちょっと違います。相当、シュールです。

 

かおるくんは、ある日庭で小さな赤ちゃんの長靴を発見するのですが、翌日見るとその長靴は少し大きくなっていました。片足だけ履いてみると、なんと足が消えちゃいます。その後どんどん大きくなって、中にはいれるようになるのですが、すみません、この絵本はほとんどどこでも見かけないので、私の記憶がそこで途切れています。長靴は最終的にはどんどん小さくなっていき、最後のシーンは何となく覚えているのですが、でもそれは、ここでは言わないでおきますね。

 

とにかく「ああだから、こう」という話では全くなく、コロボックルの不思議でも、想像を膨らます話でもない、とにかく「ありえない」話。ちょっと不気味で、ホラーみたいな、スリラーみたいな要素も入っている、というか。【ふしぎなふしぎなながぐつ】も、きっとかおるくんの想像だったのだと思いますが、とてもそうは思えない、なにか奇妙なお話しでした。

 

【おおきな きがほしい】は読み聞かせに使って絵本を持っているので、さっき眺めていたら、あれ?気づかなかったけど、かおるくん、最後のシーンで黄色いながぐつを履いてます。もしかして、もしかして?あの不思議なながぐつは、かたっぽだけになったこの長靴??ちょっと妄想しちゃいました。

 

とにかく私は、【おおきな きがほしい】より【ふしぎなふしぎなながぐつ】派(そんな派閥ないですが。笑)。理屈より不条理に惹かれるみたいです。本当に昔からシュールなファンタジーが好きだったんですねぇ。笑