こんにちは。
みらっちです。
前回に引き続き、文章、特にエッセイを書くにあたり、影響を受けた作家さん。
何気に、シリーズ化するつもりなのか、みらっち?
今回は、辛酸なめ子さんです。
私立女子学院を出た後、武蔵野美術短大を卒業されてます。
そしてそして、立派なアクティビスト&スピリチュアリスト&皇室ウォッチャーです。
「辛酸なめ子」というペンネームは、高校時代に周囲から「薄幸そうに見える」とよく言われていたことに由来するとか。
辛酸さんのエッセイやコラムには皮肉というスパイスがよく効いていて、最後はいつも、独特の漫画風の味のある挿絵で締めくくられるのですが、そのおっとりとしたお嬢様風の容姿と丁寧な言葉遣い、そして楚々とした画風とは裏腹なスパイシィさから「ガーリーな毒」と言われているそうです。
女性誌などで辛酸さんのコラムがあると、いつも食い入るように真剣に読んでしまいます。
これほど「体当たりの潜入取材」を行う人が、この現代、果たして辛酸さんの他に誰がいるんだろうか、いやいない。と、いつも思っています。
特に、スピリチュアルに対する関心の強さは並々ならないものがあり、辛酸さん以上に知識のある方はほかに思い浮かびません。
ただならぬ好奇心は、まるで宇宙から地球を見物に来た人のよう。いや、確か昔の著書の中では、金星人だと言っていたような、金星人になりたい人だったような。
身近にいたら「不思議ちゃん」カテゴリーですが、そこでとどまらない怒涛の好奇心と行動力が彼女をして唯一無二の存在にしていると思います。
アクティビストの名に恥じることなく、本当に「なんでもやってみる、試してみる」のがすごいです。とにかく「どうかんがえても、それ、怪しいでしょう!行っちゃダメ!買っちゃダメ!」というようなことや場所に、果敢に突っ込んでいきます。しかも「そんなこと、あるわけないんだから」と斜に構えているわけではなく、彼女はいつでもどんなときも本気です。ただし結構、知識が邪魔して三日坊主、ということも往々にしてあるようですが。
私は辛酸さんのコラムが、早逝したナンシー関さんに通じるものがあると思うのです。
ナンシー関さんは、青森出身の「消しゴムハンコ」アーティスト。2002年、39歳で突然世を去りました。なんと、今調べたらもう亡くなってから20年経つのですか。なんだか信じられません。
ナンシー関さん、好きでした。語りたいことは多かれど、その鋭い観察眼と、キレッキレの毒舌。あまりにもそっくりで特徴をとらえまくった肖像を描いた消しゴムハンコ絵のエッセンスは、微妙なブレンドで辛酸なめ子さんに受け継がれているような気がします。
辛酸さんが、ナンシーさんのエッセンスを喜ばれるかはわかりませんが……
こんなことを言ったのが知られたら、めっちゃ皮肉言われそうですが……
やっぱり、エッセイとかコラムにはなんらかの「毒」がないとだめですね。
「毒」を吐くということは相当な覚悟と自己犠牲が必要で、基本的にアナーキストじゃないと無理、という気がします。「身バレ」「炎上」「クソリプ」「殺害予告」などを恐れていては、エッセイストなどできない時代なのかもしれません(この、最後に強烈なインパクトのある語で毒を盛り込むのが辛酸なめ子さん流)。
辛酸さんの話にもどりましょう。
辛酸さんのエッセイやコラムからは、上記の「インパクトある語で最後に毒を添える」テクと、自己の行動に対して「い、いまのは何か不思議な見えない力かしら」的な「笑える責任回避」の言い回しなども学びました。
たとえば。
辛酸さんのエッセイは女性誌や立ち読み等(失礼)で沢山読んでますが、時にはハッと気づくと辛酸さんの本を手に書店のレジに並んでいることがあります。本になんらかの呪(まじな)いが施されているのかもしれません。(👈いかにも辛酸さんっぽく書いてみた)
最近は通販やkindleで本を読むことが増えたのですが、その際もフラフラと辛酸さんのエッセイを検索している自分がいて要注意です。(👈これも)
しかし先日はついにまじないの誘惑に屈し、kindleで本を購入。
図書館で『霊道紀行』を読んで以来で、単行本でしっかり読むのは久しぶりです。
辛酸さんの不思議なところは、どっぷりとアチラの世界に浸っていると思いきや、実は極端な客観性を持っているところです。
どうも、ふたりの辛酸さんが彼女の中に住んでいるような気がしてなりません。
心底信じている辛酸さんと、それをネタにしか感じられないリアリストの辛酸さん。
辛酸さんの本を読むたびに、
「お願いします。私を信じさせてください」
と真剣に思っているんじゃないか、と思うのです。
おそらくこれまで、世界のあまたの心霊・スピリチュアル・オカルト・陰謀論に触れ、経験して、チャレンジし続けているのに、結局どれひとつとしてツボ買って骨の髄までしゃぶられるほどにハマってはいない辛酸さん。
これは、お金儲けで何も知らないウブな人を取り込もうとしているちょっとイケナイ方々にとっては、ラスボスに近い強敵だと思います。
私は辛酸さんの冷徹な実験魂のおかげで「癒しになる本」「本当にあっち側の本」「足を踏み入れているがギリギリ現実世界にいる本」「ただのひやかし本」「お金儲け本」の区別がつくようになりました。
そして、趣味として楽しむ、うまくつきあっていく方法を自然に学んだ気がします。
他人に強要しなければ、ほどよいスピリチュアルはいいですよ。
占いを楽しんだり、いい匂いをかいだり、太陽の光を浴びたり、感謝したり、心を落ち着けて静かな時間を持ったりすることは、全然、悪いことじゃあないと思います。心と身体がつながっていることや、見えない力があると思うことって、素晴らしいじゃないですか。お天道様に恥ずかしくないように、と思うことや、正月に初詣に行くのとなんら変わりはありません。純な気持ちです。
信じること、って大事です。
ただこの時代、そういう純な心を利用しようと網を張ってる人がいっぱいいますからね。罠を知らずして生きていくのは危険ですらあります。
君子危うきに近寄らず、をモットーにされている方は「危うき」が何かをご存じないと思わぬ時に足元をすくわれるかもしれません。
スピリチュアルを生活に取り入れるには、論理性と客観性が不可欠です。
『スピリチュアル系のトリセツ』は、2020年初版ですので、おそらく最新刊だと思います。
この本では「スピリチュアルとは何か」という超・初歩の初歩から、手取り足取り、手ほどきをしてくださってます。
その歴史から始まって「スピリチュアル」と一言に行っても、その中にはたくさんの「世界」があることが解説されています。
少しかいつまんでみますと、
占い系
心霊系
パワースポット系
ハワイ系
前世系
オーラ系
天使系
引き寄せ系
陰謀系
アセンション系
宇宙人系
ライトワーカー系
笑い系
さとり系
という分類があって、まあよくうまい具合に過不足なく分類してくださった、と感心します。それらすべてに、詳細な解説がついています。スピリチャルにハマる人は完全にどれかひとつ、というわけではなく、そのいくつもに当てはまる場合もあります。
えーと私はどれかなぁ?
辛酸さんの解説の、どれひとつとして知らない単語がなかった自分が怖い。
たぶんですね、知れば知るほど、ハマれなくなるものなんだと思いますよ。
きっと辛酸さんもそうなんだと思います。
言うなれば「探求系」?
最近彼女が変なこと言い出したから別れた、というそこのあなた。
なんのなんの、彼女はフツー。
しっかり学べば、彼女がライトな「なんちゃってスピ」に過ぎなかったことに気がつくでしょう。
高額な水を売りつけてきたり、ネットワークビジネスに誘ってこない限り、別れることはございません。
真剣に宗教に行っちゃったらそれは少し考えものですが、スピリチュアルは人生の潤いです。
辛酸さんも、こうおっしゃってます。
今、スピリチュアルに興味を持つ人が増えているのだとしたら、その理由は、年金や地球環境など未来が不透明だったり、日本の国力が縮小していて不安感が漂っている、というのもありそうです。国や政府に頼れないから、神様や仏様、天使やアセンテッドマスターなど目に見えない存在に救いを求めたいのかもしれません。
家族が陰謀論にハマってしまった、という洒落にならない場合もありますが、君子のみなさんには、ぜひこちらの本をご一読いただき、スピリチュアルな視点を手に入れていただいて、「私はだまされない」実例として利用したり、生活の潤いとして活用していただきたいと思います。