みらっちの読書ブログ

本や映画、音楽の話を心のおもむくままに。

超豪華コラボにときめく!【おはなしのたからばこ/フェリシモ出版】

こんにちは。

 

今日は「フェリシモ」の「おはなしのたからばこ」です。

フェリシモというのは、予約頒布会のような通信販売会社です。「あったらいいなをカタチにする」というのは小林製薬さんのキャッチコピーですが、こちらのフェリシモさんもかなりその「アイディアを形にする」のが得意な会社さんだと思います。でもときどき「これは…ビミョーだったかも」なものも(失礼!)。でもいつも「改良・改善」でキャッチ―で便利でかわいいモノを追い求めている、そんな気がします。

 

www.felissimo.co.jp

 

サイズが小さいんですよね。手のひらサイズ。出たばかりの時に買ったのですが、当時は大きいサイズがなかったので、残念だなぁと思っていました。今は、大きいサイズができたみたいですね。やはり大きいサイズがいいと思います。せっかくの絵がほんとうにもったいない。絵も文章も、かなり面白いコラボが多いんです。

 

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第一集が2008年初版で、2009年までに随時刊行されています。

今上のサイトを見たら続刊が出ているみたいです。やったー!ちぇけら!

 

さて、こちらの【おはなしのたからばこ】は予約販売で月1回届くしくみでした。

グリムやアンデルセンなどのお話と、新しい創作絵本などが入った3冊は届くのが楽しみでした。第一集にはアンデルセンとグリムが入っていますが、

 

白雪姫 岩瀬成子文/荒井良治絵

カエルの王様 あるいは鉄のハインリヒ 江國香織文/宇野亜喜良

熊ちゃん 今江祥智文/あべ弘士絵

 

というラインナップです。「熊ちゃん」のコンビは絵本好きにもたまらないし、こんなコラボが?というような組み合わせも豪華!

 

富安陽子さん、谷川俊太郎さん、石津ちひろさん、工藤直子さん、飯野和好さん、岡田淳さん、角田光代さん、田島征三さん、長谷川義史さん…などざっと見ただけでも著名な作家さん、絵本作家さん、画家さん、イラストレーターさんがずらり。樹木希林さんのお嬢さんの内田也哉子さんが『ラプンツェル』の文を書いていたり、前にブログでご紹介した町田康さんも書いています(『猫とねずみのともぐらし』これは息子のお気に入り)。創作童話も面白いのが多くて、子供が生まれるずっと前に自分の趣味で買った本ですが、子供が生まれてからは子供と楽しむことができて良かったです。

 

とはいえ、息子はシュールな現代的創作絵本の方が好きで(明らかに遺伝)、全部の本をじっくり読んだというわけではなく、夜読み聞かせで読むにも字も絵も小さくてあまり適していなかったのは残念です。

 

さて、今日のピックアップ絵本はこれです。

【ポケットに砂と雪】

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2019年に亡くなった和田誠さん(妻は平野レミさん、息子のお嫁さんが上野樹里さん)の絵本です。第10集に入っています。

 

 

これが、川原泉さんの【フロイト1/2】にとってもよく似ているお話でした。【フロイト1/2】は哲学的なギャグが最高なコメディタッチのコミックスです。

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ざっくり言うと【ポケットに砂と雪】では探検家の教授と写真家が、それぞれ砂漠や雪山で、【フロイト1/2】では大学生の弓彦くんが、雪山で遭難しかけます。そのときに、女の子が助けてくれるのですが、女の子は夢の中で彼らを助けていたのでした、というお話。

 

フロイト1/2】では、弓彦くんは山に登る前に小田原に寄り道していて、提灯を買います。その時にたまたま会った女の子、梨生ちゃんにもちょっとした事情があって提灯を買ってあげます。その提灯は二つでひとつのセットだったので、ふたりは同じ夢を見ることができるようになっていた、という伏線があります。その提灯は不思議な提灯で、心理学者ジグムント・フロイトがあの世で提灯に魅せられ、提灯職人に弟子入りして作った最初の提灯でした。梨生は夢の中で弓彦と会い、弓彦は雪山で遭難しかけたときに、梨生の提灯を追いかけることで助かります。物語ではその10年後にその伏線がどうなったか、ということが描かれています。

 

【ポケットに砂と雪】では、事前に互いに交流はありませんが、ジョージ・バレルは砂漠で、ペーター・ケスラーは雪山で、それぞれ別々に白いうさぎのぬいぐるみを抱えた日本人の女の子の姿を見かけ、後を追いかけることで九死に一生を得ます。女の子は日本人でカズエちゃんといい、どうやらカズエちゃんはひと晩にふたりの命を救ったみたいです。砂漠と雪山の夢を見て、朝起きたらポケットに砂と雪が入っていました。

 

この、山などで生死の危険を伴う事態に遭遇した時に助けてくれる存在の話、というのは、日本の昔話や怪談などには多くあります。日本の山は特に山岳信仰があったり、あの世や異界の象徴でもあるため、怪異譚や実際に山で不思議な体験をする人、というのは古今東西後を絶たちません。山姥とか鬼、神隠しや迷い森。

 

「送り狼」は現代では意味が違ってしまっていますが、もともとは道に迷った人をオオカミが里まで送ってくれる話ですよね。キツネだったりタヌキの場合もあります。助けてくれるのは山に棲む存在だったり神様だったりいろいろですが、遠く離れたところにいる子供が夢の中で、というのも比較的多い類話みたいです。

 

フロイト1/2】は、フロイトユングアドラーのかつての三大心理学者が共通して論じている(論は少しずつ違うんですけど)「無意識」をベースにしています。

 

河合隼雄先生がブームになったころは、ユングの『集合的無意識』花盛りな時代がありました。河合隼雄先生の本はブログで取り上げるつもりなので、この三大心理学者さんたちは今後もちょこちょこ登場してくると思います。

 

おおまかに言うと、夢と無意識がつながっている(フロイト)、その無意識は人類全体でもシンボリックなものでつながっている(ユング)、無意識と意識を統合して「個人的に」対処する方法を考える(アドラー)と、それぞれアプローチが違っています。彼らはほぼ同時代のひとたちなので、一緒に活動したり師事したり離反したりという経緯があります。現在、フロイトはパイオニアとして無視できない功績があり、アドラーは現実的で実際的な心理学として最近まで人気、ユングだけは「オカルト」に分類されつつあります。

 

ユングがオカルトだなんて残念です。なんだかもったいない。ユングをオカルトだというのは、時代の観方や枠組みといったものに過ぎない気がします(そう願いたいだけかもしれないけど)。その「もったいなさ感」が、上のふたつの本には詰まっているような気がするのです。