「あなたがお勧めしたい好きな映画を教えてください」。
私が参加している読み聞かせボランティアで、司書の先生を囲んで茶話会をしたことがありました。ひとりひとり自己紹介がてらお話をすることがあったのですが、その時の「お題」がこれでした。
すごく悩みました。
映画は大好きです。張り切って、あれもこれもとリストアップ。
ノートに書きだしたりして、悩みに悩んで、結局。
決められませんでした。
それで、当日、決められなかった、と言いました。
言い訳しながらなんか屈辱でした。
こんなに映画好きなのに~誰にも何にも、お伝え出来ない。
これって恥ずかしいことだ…と思いました。
決められないんです。
泣きたくなるほど、ひとつに決められない。
アメリカ在住の病理・ウイルス専門医の峰宗太郎先生は「ばぶ先生」という愛称で知られていますが、ばぶ先生とTwitter上でお勧め本を紹介しあうという夢の企画「ばぶっく」でも、悩みすぎて投稿することができません。
いいんです。たぶん。そんなに真面目に「いちばん」じゃなくても。
今興味があることでもいいし、その時その時の感覚でいいんだと思うんです。
昔見た映画で印象に残っているのを一つでも言えば、それで。
いいんだよと心のどこかで自分に言うんだけれども、気が付くと「これがいちばん、じゃない」と思ってる。幻の「いちばんおすすめしたいもの」があるはずで、それをご紹介しなければならぬ、と思い込んでいる。
で、結局なんにも発信できない。
そんなことが延々、続いていました。
なんでだろう。本は大好きだし、いつも何かしら読んでいる。
そんなに賢くはないから専門的な本や難しい本は読めないし、そこまで多読でもない。人に自慢できるほどの読書家ではない。だけど本に対する愛は人一倍、あるつもり。
「好きなものは何」と聴かれたときに何であれ即答できる瞬発力が欲しい。
いざと言うときさっと出せる切り札があれば!
ずっとそう思い続けていました。
で、ブログを書こう、と思ったときに。
そうか。ブログっていうのは、常に
「あなたが好きな本、お勧めしたい本はなんですか」
と聞かれているのだな、と。
悩んで決められない、という言い訳なしに、どこまで発信できるかわからないし、私が本をお勧めしたところで誰かの役に立つかどうかはわからない。いやむしろ、毛ほども役にたたないかもしれない。それどころかもしかしたら誰かのことを気づかないうちに傷つけてしまうかもしれないし、誰かの好きな作品、あるいは作者をその気もなくディスっているかもしれない。
割とぐちぐち悩んでいたのですが。
まあだからこそ、瞬発力に欠けていたのだろうとも思いますが。
今、こんなご時世で、出かけることを制限したりされたり、やりたいこともやれなかったり、我慢したり。
そんな中で、互いに気遣いあい思いやっていかなければならない時代。
何か、できることはないかな。
私にも、できること。
色々考えたのだけれども、それよりほかに私ができることがなんにもなくて。
ちょっとでも「この本面白そうだな」と思ってもらえるようなブログにできたらいいなと思っています。