みらっちの読書ブログ

本や映画、音楽の話を心のおもむくままに。

小説

崎陽軒の弁当は、シュウマイじゃなくてシウマイ【ばにらさま/山本文緒】

こんにちは。 『ばにらさま/山本文緒』を読みました。 2021年9月13日刊。 www.kinokuniya.co.jp 短編集です。 短編って、難しいと思います。 長編なら、伏線を回収したりする余裕がたっぷりあり、説明や盛り上がるクライマックスシーンをいくつも入れ込むこ…

風に乗って「燃え剣」の話【燃えよ/藤井風】

こんにちは。 昨日、藤井風さんの新曲が配信になりました。 『燃えよ』。 どうして風さんはいつもこう、耳に残るフレーズをこれでもかと繰り出してくるのか… 前回の曲が『きらり』。 こちらも何度もリピートしてしまう曲です。 私のブログ、前回の「爆発」に…

想像力は最高の音響効果②【ピアノ編】

こんにちは。 以前、「想像力は最高の音響効果①」を書いたときに、音楽を題材にした漫画や映画を楽しむためには、脳内で音楽を再生する手間暇が必要で、そしてそのための想像力を巧みに刺激する演出というのがあると思う、ということを書きました。 miracchi…

「推し」は世界を救う、かもしれない【推し、燃ゆ/宇佐美りん】

こんにちは。 先日久しぶりに通販のカタログを眺めていたら『推しの祭壇にピッタリ!』と言う惹句が目に入りました。 推しの祭壇、とは、自分の好きな人物に関連するグッズを、神棚のように棚に飾り付けることを言うそうです。 ついに通販で専用棚が売られる…

心に撒かれた種が時間差で花咲く【白河夜船/吉本ばなな】

こんにちは。 以前、村上春樹について書きました。 村上春樹『ノルウェイの森』の出版と同時期に鮮烈な印象を持ってデビューして、一躍大人気となり、売れっ子作家となったのが、吉本ばななさんです(なんかすみません、村上春樹は敬称略で吉本さんは吉本さ…

ものすごくハマって急激に冷める、ということがある【森博嗣と京極夏彦】

こんにちは。 熱が伝わりやすくて冷めやすいのはアルミの鍋だそうです。 熱が伝わるのが遅いけど冷めにくいのは土鍋やホーロー。 今はアルミとステンレスの合金とか、フッ素加工とかいろいろあるので、鍋を選ぶのもそう簡単ではありません。 私はお料理が苦…

弱者を作り出しているのは誰(※センシティブな話題を含みます)【炎炎ノ消防隊/大久保篤・彼女は頭が悪いから/姫野カオルコ】

こんにちは。 子供が小学生のころボランティアで「読み聞かせ」をしていました。 実は「読み聞かせ」という言葉を聞くと複雑な気持ちになります。子供たちの視点から見ると「読み聞かせられ」になり、少し一方的に感じてしまうのです。 「読み聞かせ」はすっ…

この支配からの卒業【本心/平野啓一郎】

こんにちは。 このところ、比較的新しい「小説」を読むことが増えました。 『本心』も、5月に出たばかり。 コロナ禍になる以前は、いわゆる純文学の「小説」からしばらく遠ざかっていました。 「小説」は、読むときは読むのですが、しばらく遠ざかると距離を…

ハルキストとアンチの間の森で道に迷う【ノルウェイの森/村上春樹】

こんにちは。 村上春樹は、かつてファッションでした。 こう書くとものすごい反論が来そうです。なにしろ高い評価を得ているノーベル賞候補作家で(ノーベル賞だけが獲れないと言われるように他の文学賞は総なめくらいの受賞)、世界中にファンを持つ売れっ…

子子子子子子子子子子子子、何と読む?【鬼の橋/伊藤遊】

こんにちは。 今日は児童小説です。『鬼の橋/伊藤遊(いとう・ゆう)』。 1998年初版。福音書館。第三回児童文学ファンタジー大賞受賞作です。 www.kinokuniya.co.jp まずはタイトルの答え。「このねここねこ、ししのここじし」が正解! これは『宇治拾遺物…

母と娘のブルース【流星ひとつ/沢木耕太郎】

こんにちは。 以前からもよくブログでお話ししていますが、私は宇多田ヒカルさんのファンです。 藤圭子さんと、宇多田ヒカルさんの世代の、ちょうど狭間の世代にある私は、歌手の藤圭子さんを知りません。歌っている姿をテレビで見た記憶がほとんどありませ…

生きているとはなんなのか【ソードアートオンライン】と【レディ・プレイヤー1】

こんにちは。 コロナ禍で友達と遊べない息子は、オンラインゲームに夢中です。そこにあるのは、世界の共有と会話。ログインして友達と思い切り遊ぶ。リアルで遊ぶのと遜色のない友達関係を築いています。 今日はラノベ発アニメ「ソードアート・オンライン」…

コピーが不機嫌にならないような働き方改革が必要かも【ブレーメンⅡ/川原泉・ボッコちゃん/星新一】

こんにちは。 先日、お友達のNさんとお話ししていたら「AIが社長をやっている会社があるらしい」という話になりました。株式会社オルツという会社だそうです。HPには"私たち自身の意思をデジタル化し、クラウド上に配置してあらゆるデジタル作業をそのクロー…

必読!いまこそ読みたい【臨床の砦/夏川草介】

こんにちは。 久しぶりに、本を読んで泣きました。活字中毒で年中本を読んでいるので、結構耐性が強くなっていて、滅多なことでは泣かないんですが。 www.shogakukan.co.jp 作者の夏川草介さんは長野県の感染症指定医療機関に勤める内科医です。代表作に『神…

パンデミックの世界を生きる少女たち【がっこうぐらし!/原作:海法 紀光・作画:千葉 サドル】

こんにちは。 2019年に始まったウイルスの流行が、2020年にはついに世界中に広まりパンデミックになった世界に、今、私たちは生きています。 今日ご紹介する漫画は、もっと過酷な「パンデミック」を体験した少女たちの物語です。 【がっこうぐらし/原作:海…

迷わないネズミと迷える子羊【アルジャーノンに花束を/ダニエル・キイス】

こんにちは。 このところ、思い出すのはこの本。【アルジャーノンに花束を】。 今回、改めて調べて、1959年に中編として発表され、1966年に長編として発表されていたことを知りました。私はたしか大学生の頃に読んだ気がしますが、実はそのときは、こんなに…

そこに行けばどんな夢もかなうというよ【西遊記/呉承恩】と【文学少年と運命の書/渡辺仙州】

こんにちは。 今日は子供の頃好きだったシリーズ。 西遊記! 子供の頃の人気番組と言えばこれですね。 毎週楽しみにしていました。主題歌を歌ったゴダイゴの人気と相まって、強烈な印象を残しています。残念ながら岸辺四郎さんは昨年亡くなってしまいました…

ドラマティックな四人の人生【若草物語/ルイーザ・メイ・オルコット】

こんにちは。 年末年始のお休みで、結構下書きも溜まったので、うーんどれを出そうかなと悩んだのですが、子供の頃に好きだったシリーズをしばらく出してなかったので、今回はこちら、『若草物語』。『赤毛のアン』の物語と同様に続編がいくつも書かれている…

役者の狂気と執念に酔う【化け物心中/蝉谷めぐ実】

こんにちは。 ついつい夢中になってしまう本を久しぶりに読みました。 『化け物心中』は蝉谷さんのデビュー作だそうです。小説野生時代新人賞を受賞しています。 ちょっと熊とか鬼とかコワイモノがヒトをおそう話が続いてしまってすみません。わざとじゃない…

実録と創作どちらも怖い 後編【羆嵐/吉村昭】

前編からの続きです。 miracchi.hatenablog.com 木村さんのノンフィクションから触発されて作家・吉村昭さんが執筆したのが『羆嵐(くまあらし)』(単行本初版は昭和52年、文庫版の初版は昭和57年)です。作品の最後に、著者が木村さんの著書を参考に、木村…